「ゲットーを捏造する-アメリカにおける都市危機の表象」読書メモ
- 作者: ロビン・D.G.ケリー,Robin D.G. Kelley,村田勝幸,阿部小涼
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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第一章
従来の社会学による都市の黒人文化に関する著作の問題点は、狭義の文化定義に依拠し、人々の行動と文化を交換可能で同義のものとして扱った事にあると述べている。
(都市黒人文化を単一のものと定義し、言語・音楽・スタイルなどの文化を、病理の表現・人種主義と貧困に対処するための代償・抵抗行動であると関連づけ説明する)
ヒップホップ
ラップに対しても上記の様な視点に基づく解釈がなされる。ひとつは暴力性の表出であり、もうひとつは貧困に対する抵抗の表現であるという見方である。しかしラップにおいては、物語る内容以上にMCの喋りの技量、創造的なユーモア、隠喩や直喩、スラングを飛ばす力量がもたらす快楽が重要である。「黒人音楽、言語の創造性と実験、その身振り、その語り、そのスタイルは、鳩尾から沸き上がる心理的な快楽の源泉としても理解されなければならない。かれらはまた、インナーシティのコミュニティの政治的・社会的世界について考察し言及するけども、表出的文化は単に社会生活や葛藤、病理、不安の表現を反映したものではない」(p76)