「ブルースの魂」続き

5/ブルースの誕生

 奴隷解放後の黒人社会の変化について述べられている。「黒人の立場は昔のような単純なものではなくなり、不慣れな社会の激しい生存競争の真只中で自立自存の戦いを始めなくてはならない。白人がすでに数世紀間そうやってきたことが、突如として黒人の身にふりかかってきたのだ」(p76)

6/カントリー・ブルースの成立

 余暇や移動の自由による生活体験の拡張と複雑化がブルースという新しい形式に反映された。ブルースの個人的な経験を語る性格も、社会生活の変化が影響している。
 楽器の伴奏を用いる特徴について「ブルースはその最初から、楽器伴奏を考慮していた。ブルース成立の最後的形式である十二小節構成は、三行の歌詞からなり、各行は四小節にわたり、その中の半分が歌詞で残りの二小節は、別人が歌う答え、または楽器の応答にあてられているからである」(p90)
 ブルースを源流とし、西洋の楽器を取り入れ、器楽的な音楽になったのがジャズ。ニューオーリンズ発祥とは限らないが、ジャズ生んだ環境を説明するには妥当な例。マーチング・バンドの楽器をまず取り入れたのはクレオールの人々。他の黒人達も取り入れ始め、自己流に演奏し出す。

7/女性のブルース

 「古典的ブルース」聴衆の前で歌い、報酬をもらう大衆娯楽として成立したブルースを指す。古典的ブルースの土台には、ミンストレル・ショーがあり、ミンストレル団の巡業を通じて広まった。歌詞は黒人以外のより広い聴衆の状況や感情を扱った。Ma RaineyやBessie Smithなど多くの女性歌手が人気を博した。

8/都会ブルースとブギウギ

 世界大戦による労働者需要などから黒人の北部移住が活発化する。南部のブルースが持ち込まれ、都会的なブルースが生まれる。ブギウギは「声楽ブルースに田舎歌手の使ったギター技術を合わせてピアノ化したものといえる」(p134)

9/ジャズ対ブルース

 黒人中産階級についての分析。白人中産階級の生活を志向する彼らは、ブルース・ブギウギなどは下品なものと敬遠した。黒人中産階級の意識とブルースはそぐわなくなっていた。